最初にそう思ったのは、私がまだ20代の頃のこと。
卒業後に就職した就労支援事業所での出会いが、すべての始まりでした。
年齢も背景もさまざまでしたが、共通する「心の温かさ、純粋さ」に強く心惹かれたことを覚えています。
この方たちのために、自分に何ができるのか。
残念ながら当時まだ経験が浅かった私は、想いだけが空回りをしている状態でした。
けれども今は違います。
2年間、JOTサポート神戸(就労移行支援)の施設長を担い、その中で得た知識や学びを、B型支援にも十分に活かすことができる。
そして、20代の頃に“やり残したこと”を、今ならばカタチにできると自信をもって言えます。
このたび念願のB型事業所をオープンすることができました。
焦らず、ゆっくりと「一人一人の方に合った歩み」を進めていけるのは、
利用期限が設定されていないB型ならではの大きな魅力の一つです。
たとえば、特別支援学校の生徒さんであれば、まずは在学中に「実習」という形で作業やプログラムなどを体験していただくことが可能です。
そしてそれらの実習をふまえて、卒業後の“初めての社会体験の場”としてJOTワークラボをお選びいただければ嬉しいです。「いつかは就職したい」という夢や目標をお持ちでしたら、その想いを私たちは大切に育てていきます。
まだ幼さの残る高校生だった方が、日々さまざまな作業やプログラムを重ねながら、少しずつゆっくりと一人の社会人として成長していかれる。そのドラマティックな道のりを共に歩み、見守り、寄り添っていくこと。それこそ私が20代の頃から叶えたかった支援員としての夢です。
そして皆さんと一緒に、我々スタッフも自己研鑽を忘れず、常に成長し続けていけるような事業所を創っていくこと。それが施設長としての今の私の目標です。
「しあわせ」とは何だろう?
お一人お一人ちがう「しあわせのカタチ」をご本人と我々スタッフとが一緒に見つけていく。
その共同作業は日頃からのしっかりとした信頼関係がベースになります。
たとえば「いつか就職したい」という希望をお持ちの方には、ビジネスマナーやPC練習などをご本人と相談しながら訓練に取り入れていきます。
また現時点では就労を望んでおられない方には、ゆったりと過ごす中で「できた!」という喜びを一つでも多く得られるようにサポートをしていきます。
あくまでも長い目で、「その方のしあわせ」を一緒に考え、一緒に取り組んでいく。 それが私たちの支援の仕方です。
どんなサポートをしていくかは、ご本人とじっくりと向き合いながらつくっていくものですが、
日々を過ごす《空間》は、前もって準備ができるもの。
やさしい陽の光が射し込んで、木のぬくもりを感じられ、通うことが楽しみになるような空間にしたいと思い、このワークラボをデザインしました。
私は、いわゆる「作業所」のイメージとは全く違う、新しいカタチの事業所をつくりたい。
そしてこの場所で、どんなに小さな成長でも、一緒に手をとって喜び合いたいのです。
これから先の可能性に満ちた人生に、どうか寄り添わせてください。
“できるようになる”という感動の瞬間に、立ち会わせてください。
このメッセージが、「豊かな人生を描きたい!」と願う障害をお持ちの方々に届くことを、願って止みません。
就労継続支援B型事業所
JOTワークラボ神戸 所長
太田 寛之