就労継続支援B型事業所にも様々な特色があります。当事業所では特に知的障害をお持ちの方が、その力を存分に発揮し、毎日楽しく作業ができ、生活できるよう、考え、日々取り組んでいます。
また、事業所内での支援は家庭でも取り入れやすいものがいいと思います。この勉強会ブログを通じて作業や事業所でのプログラムは勿論、生活そのものでのご本人・親御さんの困り事や心配事が少しでも楽になるように、願いを込めて、発信していけたらと思います。
私自身、支援員としてだけでなく、障害児者を持つ親としても、学んだことを実践でき、ヒントになるようなことを更にお伝えできたらと思います。
第3回目の勉強会は上記のテーマを基に、メンバーさんの作業での分かりやすい支援について、参考文献も確認しながら話し合いました。
環境整備・課題・取り組んでいくこと
- 現状、作業内容の変更が.多く、道具の置き場所が決まっているようで決まっておらず、何処にあるか、何処に片付ければいいのかが分かりづらい。
- 口頭での説明が多い。
- 手順書が少ない。
メンバーさんご自身が作業準備から片付けまで、1人で完結できる環境を目指す。
- 作業内容ごとにラックを分け、どのラックがどの作業か目で見て分かるようにタイトルを付け、色分けしていく。道具の住所を確定させる。
- 変更があった場合は、その場で提示しながら説明を行い、理解の確認を行う。
- 全てのメンバーさんに忘れずに共有する。聞きにくい人も聞きやすくなるような環境を整える。
- 作業に必要な道具を写真カードにし、リングでまとめて、それらが入ったボックスに入れておく。
- ボックスにも何が入っているか、写真カードを貼り、片付ける際もそれを見たらできるようにする。
- 使う道具自体にも用途を記入し、目で見て分かるようにする。
作業中の支援・課題・取り組んでいくこと
- 支持理解が難しい、集中力が続かない方への伝え方。
- 抽象的なことを理解するのが難しい。⇒より具体的に伝える方法を常に考える。
- つまずきポイントをみんなでチェック
- 今持っている力を十分に発揮できるためには
- 「彼にはもう無理や」という決めつけ=支援としてNG
- いきなりハイレベルを求める=支援としてNG
- 朝礼時、希望の作業を1人ずつ伺い、やりたい気持ちを尊重する。
- 具体的な時間や、行う回数などを予め伝え、タイマー機能なども使用し、終わりが分かりやすいようにする。時間内にできた達成感を味わえるようにする。
まとめ
- メンバーさん1人1人の良さを活かし、力を発揮できる環境を整え、支援する。
- スローステップでもできなかったことができるようになる支援を行う。
- 自分から進んで能動的に動けるために、見える化を進める。
- 自分がここにいる意義を感じてもらえる支援を行う。
- 1人に分かりやすい環境は、どの方もわかりやすい。初めて作業をする人にもわかりやすい環境を常に考え、話し合い、改善・改良していく。
第3回勉強会を終えて・・・
これまで私が自閉症と知的障害を併せ持つ長男、重度の知的障害・広汎性発達障害を持つ次男を育て、また、放課後デイサービスでの児童指導員、就労移行支援事業所での支援員、現在の支援員との経験から思うことは、「障害をお持ちの方の分かるは私たちみんなにわかる」、ということです。
一人一人に合わせた支援は勿論、大切で必要不可欠です。それで、その方のできることが増え、自信にも繋がる。自信に繋がると自然と働くこともどんどん楽しくなってくると思います。その基本となるものがどの方にとっても「見える化(可視化)」なのかなと改めて思いました。
長男がまだ言葉も話せない児童の頃、先の見通しがたたないことからひっくり返り、暴れるパニックが度々起きていました。その度、まだ経験のない私はなんでこうなるのだと抑えることに必死になり、悲しい気持ちにもなっていました。ですが、様々な出会いや経験から、絵カードや写真カードで先を見せるとパニックの回数は少しずつ減っていくことが分かり、23歳の現在は彼もとても成長し、カード無しで言葉でも伝え、切り替えもすぐにできるようになっています。
現在に至ったのは絵カードを使うようになってすぐではなく、気付けば、というような少しずつであったと思います。そして、このプロセスがあってこその今だと思います。例え、結果がうまくいかなかったとしても、そのプロセスこそが大切なのだと思います。
就Bに来られる18歳以上の方は、そのプロセスは既に経験しているかも知れませんが、初めて行う作業や場所は誰でも不安です。その不安を少しでも早く取り除き、安心して元気に通所し、日々作業に取り組める、できなかったことも支援の見える化や工夫でできるようになる、期限の縛りがない就Bで、スローステップで、通所されるみなさんの「できる」を増やすお手伝いを、もっと具体的にしていこうと改めて強く決断しました。