この記事のポイント
- 20さいになると、おうちの人がもらっていた「手当」がおわり、自分の名前でもらう「年金」に切りかわります。
- 年金は、自分でもうしこまないともらえません。20さいになる3か月くらい前から準備をはじめます。
- わからないことは、区役所や年金事務所、相談支援専門員にきいてOKです。ひとりでなやまなくて大丈夫です。
20歳の誕生日は、ご本人にとって「大人」になる節目です。同時に、お金の制度が大きく切りかわるタイミングでもあります。
この記事では、知的障がいのある方・ダウン症のある方とご家族に向けて、20歳前後に知っておきたい3つの制度(障害基礎年金・手当・療育手帳)を、国や自治体の公表資料をもとにまとめました。金額は令和8年度(2026年度)のものです。
むずかしく感じたら、最後の「チェックリスト」だけ読んでいただいても大丈夫です。
20歳で何が変わるの?
一番大きな変化は、「保護者がもらうお金」から「本人がもらうお金」に切りかわることです。20歳未満の制度は自動では続かず、20歳以上の制度には新しく申請が必要です。
| 20歳未満(〜19歳) | 20歳以上 | |
|---|---|---|
| 受け取る人 | 主に保護者 | 本人 |
| 主なお金 | 特別児童扶養手当(1級 月58,450円/2級 月38,930円) | 障害基礎年金(1級 月約88,260円/2級 月約70,608円) |
| 重い障がいがある場合 | 障害児福祉手当(月16,560円) | 特別障害者手当(月30,450円) |
| 国民年金 | 加入しない | 加入する(保険料の免除制度あり) |
※金額は令和8年4月分からの月額。特別児童扶養手当は20歳未満の障がいのある子を養育する父母等に支給される手当のため、20歳になると終わります。
ポイント: 手当が終わってから年金が入るまで、手続きの時期によっては収入が空く月が出ることがあります。早めの準備が、ご家族の安心につながります。
障害基礎年金:20歳からの生活の土台
障害基礎年金は、障がいによって日常生活に大きな制限がある方が、20歳から本人名義で受け取れる年金です。知的障がいやダウン症は、多くの場合「20歳前からある障がい」として扱われます。
いくらもらえるの?(令和8年度)
| 等級 | 年額 | 月あたり | 目安となる状態 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 約88,260円 | 他の人の助けがないと日常生活が送れない程度 |
| 2級 | 847,300円 | 約70,608円 | 必ずしも助けは要らないが、日常生活がとても大変な程度 |
※昭和31年4月2日以後に生まれた方の金額。年金は2か月分ずつ、偶数月(2・4・6・8・10・12月)に振り込まれます。
知っておきたい4つのポイント
- 保険料を払っていなくても対象になる 20歳前に初診日がある場合、保険料の納付要件は問われません。
- 本人の所得による制限がある 20歳前の障がいによる年金は、本人の前年の所得が一定額をこえると半額または全額が止まります。令和8年10月からは、所得が385万8千円をこえると半額、491万8千円をこえると全額が停止となります(扶養親族がいる場合は基準が上がります)。B型事業所の工賃だけでこの基準をこえることは、通常は考えにくい水準です。
- 療育手帳の等級と年金の等級は別もの 「手帳がAだから1級」とは限りません。年金の等級は、主に医師の診断書をもとに日本年金機構が審査します。
- 生まれつきの知的障がいは「初診日」の証明が簡単になることが多い 一般的に、生まれつきの知的障がいは初診日の証明書類が不要とされる扱いがあります。ただし個別の状況で異なるため、窓口で必ず確認してください。
手続きの流れ
- 20歳の誕生日の約3か月前:年金の窓口(区役所の国民年金担当または年金事務所)に予約し、「障害基礎年金を請求したい」と伝えて書類を受け取る
- 医師に診断書を依頼:20歳到達日(誕生日の前日)の前後3か月以内の状態を書いてもらいます。普段の様子をよく知る医師に、早めに相談しておくと安心です
- 「病歴・就労状況等申立書」を作成:生まれてから今までの様子、学校や日常生活で困っていることを書きます
- 書類を提出:年金請求書、診断書、申立書、療育手帳の写し、本人名義の通帳など
- 審査(約3か月):結果は1級・2級・不支給のいずれか
- 振り込み開始:年金証書が届いてから約1〜2か月後
現場からのひとこと: 診断書は、医師が診察室で見る姿だけで書かれると、実際の生活の大変さが伝わりにくいことがあります。家庭や事業所での具体的な様子(一人でできること・できないこと、必要な声かけ)をメモにして医師に渡すと、状態が正確に伝わりやすくなります。
年金にプラスされる給付金と、国民年金の保険料
障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受けていて、前年の所得が一定以下の方は、年金に上乗せして給付金を受け取れます。年金と同じ口座に、同じ日に振り込まれます。
| 等級 | 月額(2026年4月分から) |
|---|---|
| 1級 | 7,025円 |
| 2級 | 5,620円 |
年金の請求と合わせて手続きできることが多いので、窓口で「給付金もお願いします」と確認しましょう。
20歳からの国民年金保険料
日本に住む人は、20歳になると国民年金に加入します。ただし、障害基礎年金(1級・2級)を受けている方は、届け出れば保険料が免除されます(法定免除)。
- 年金が決まったら、区役所の国民年金担当で「法定免除」の届出をします
- 年金の決定を待っている間の保険料が心配なときは、所得に応じた免除制度もあるので相談しましょう
- 免除を受けても、希望すれば保険料を納めることもできます(将来の老齢年金を増やしたい場合など)
特別障害者手当:介護がとても必要な方へ
特別障害者手当は、20歳以上で、とても重い障がいのため日常生活でいつも特別な介護が必要な方に支給される国の手当です。障害基礎年金と両方受け取ることができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額 | 30,450円(令和8年4月から) |
| 支給月 | 2・5・8・11月に、前月分までをまとめて振り込み |
| 対象 | 在宅で暮らしている20歳以上の方(施設に入所している方、病院に3か月をこえて入院している方は対象外) |
| 所得制限 | 本人・配偶者・扶養義務者(同居のご家族など)の所得による制限あり |
| 手帳 | 手帳を持っていなくても申請できます |
対象になるかどうかは、医師の診断書をもとに判定されます。「うちの子は対象かな?」と迷ったら、まずは区役所の障害福祉の窓口で相談してみてください。20歳未満で障害児福祉手当を受けていた方は、とくに確認をおすすめします。
療育手帳:更新を忘れないことが大切
療育手帳は、知的障がいのある方が福祉サービスを受けやすくするための手帳です。法律で全国一律に決まった制度ではなく、自治体ごとに名称や区分が違います。
神戸市にお住まいの方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請の窓口 | お住まいの区役所 保健福祉課(西区は玉津支所も) |
| 18歳以上の判定 | 神戸市知的障害者更生相談所(中央区橘通3丁目4-1 総合福祉センター3階/電話 078-361-2340) |
| 判定の方法 | 知的能力と社会生活能力などから総合的に判断 |
気をつけたいこと
- 更新のお知らせは基本的に届きません。 手帳に書かれた「次回判定年月」を確認し、近づいたら区役所に申し込みましょう。
- 18歳前後で判定を受ける場所が変わります(18歳未満はこども家庭センター、18歳以上は更生相談所)。
- 神戸市では、特別支援学校高等部の卒業予定の方を対象に、進路選びの参考とするための相談・判定も行っています。まずは在籍校に相談してください。
- 年金の申請では療育手帳の写しを使います。年金の時期と手帳の更新時期が重なっていないか、早めに確認しておくと安心です。
時期別チェックリスト
「いつ・何をするか」が見えると、準備はぐっと楽になります。ご本人と一緒に、できたところにチェックを入れてみてください。
高等部〜19歳ごろ
- 療育手帳の「次回判定年月」を確認した
- 普段の様子をよく知り、診断書を書いてもらえる医師がいる
- 本人名義の銀行口座を作った
- 生まれてから今までの様子(発達・学校・困りごと)をメモにまとめ始めた
20歳の誕生日の約3か月前
- 年金の窓口に予約し、請求書類を受け取った
- 医師に診断書をお願いした
- 重い障がいがある場合、特別障害者手当について区役所で相談した
20歳になったら
- 年金の請求書類を提出した(給付金もあわせて確認)
- 国民年金の加入手続き・保険料のことを確認した
年金が決まったら
- 国民年金保険料の「法定免除」を届け出た
- 年金証書を大切に保管した(次回の更新時期も確認)
困ったときの相談先
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 障害基礎年金・給付金・保険料 | ねんきんダイヤル 0570-05-1165、お近くの年金事務所、区役所の国民年金担当 |
| 手当・療育手帳 | お住まいの区役所 保健福祉課 |
| 療育手帳の判定 | 神戸市知的障害者更生相談所 078-361-2340 |
| 暮らし全体・何から始めればよいか | 相談支援専門員、通っている事業所のスタッフ、在籍校の進路担当 |
| 書類作成が難しいとき | 障害年金にくわしい社会保険労務士(費用がかかる場合があります) |
ひとりで全部を抱えこむ必要はありません。「何がわからないのかが、わからない」という段階でも、遠慮なく相談してください。
おわりに・根拠となる資料
お金の制度は「知っているかどうか」で、ご本人の暮らしの安定が大きく変わります。制度は、ご本人が自分らしく大人の生活を送るための土台です。わからないことは、どうぞ身近な支援者に声をかけてください。
この記事は2026年10月時点の公表情報をもとにしています。金額や基準は毎年見直されます。実際の手続きでは、必ず最新の情報を窓口でご確認ください。個別の受給の可否は、審査によって決まります。
出典
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
- PSRネットワーク「20歳前の傷病による障害基礎年金の所得基準額の改定(令和8年10月〜)」(厚生労働省通知の紹介)
- 鹿児島市「障害基礎年金(令和8年度の年金額)」
- 日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」
- 四日市市「年金・手当・扶養共済」(障害年金生活者支援給付金の令和8年度月額)
- 島根県「特別児童扶養手当等の手当額改定について(令和8年4月から)」
- 青森県「特別障害者手当及び障害児福祉手当」
- 文京区「特別障害者手当(国制度)」
- 静岡県「特別児童扶養手当・障害児福祉手当・特別障害者手当について」
- 神戸市「知的障害者更生相談所」
- 兵庫県立高等特別支援学校 支援部通信「未来への扉」(療育手帳の更新について)
- 大田区「障害基礎年金の請求の流れ」(生来性の知的障がいの方の案内)
- 茨城県立境特別支援学校 資料「障害基礎年金について」(請求の時期と流れ)

